書評「カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」

今回読んだ本

所感

「あなたの所属する会社・組織のカルチャーって何ですか?」

そう問いかけられたとき、何と答えるでしょうか。

会社内で言語化され明示化されているバリューやミッションを述べたうえで こういった行動や人がわが社のカルチャーであるとすんなりと説明できる人はどの程度いるのでしょうか。

個人的観測範囲内では、あまり多くないなと感じています。

自分自身も所属する組織のカルチャーがこうであるとすんなり説明するのは難しく感じています。

さてコロナ禍と呼ばれるようになり、早1年も経過し、世の中の状況が一変したまま、変わらない状況が 続いています。

その中でやはり大きく変わったのが、「働き方」ではないでしょうか。 そして個々人の考えの中で「どこで」「どんな風に」働きたいかということを考えるきっかけや時間が増えたのも事実ではないでしょうか。

そうなったときに自分の人生の時間の中で非常に多くの時間や精神的コストを支払うことになる「会社」というものに対して どうあってほしいか、どういう過ごし方をしたいかということを明確化しておきたいというのは、これまで考えてこなかったことかもしれませんが 「真っ当な」思考ではないでしょうか。

そのため、自分たちが所属する会社・組織の中で育まれている、あるいは作り上げていきたい「カルチャー」というものに好奇心の矢先を向ける 必要性というのもあるのではないでしょうか。

カルチャーとは何か

カルチャーとは一体何なのでしょうか。

世の中の企業を見てみると、さまざまな標語を持っています。 それらは、バリューやミッションと呼ばれています。

確かに、どんな企業にもこうあるべきであるという考えは一定存在しているように思います。

そう考えると、カルチャーとは、「その組織において優先するべきことや意思決定する際の判断基準」 と言えそうです。

しかし、バリューやミッションというものが言語化されており、文書として「目に見える」ところに存在していても 働いている人々がそれに「共感」して、それに則った行動ができていることはまれでしょう。

だとすると、どう「共感」してもらうかということがポイントになってきそうですね。 会社によっては、バリューが入ったグッズやスタンプなどまさに「目に見える」形にしているところもあります。 その辺のやり方やポイントに関しては、本書を読まれると良いのではないでしょうか。参考になる部分がたくさんあるかと思います。

さて、カルチャーをなんとなく理解した上でなぜそれが重要なのかということについて考えてみると カルチャーのここでの定義として「判断基準」と設定しました。

会社組織において各人は自分が行うべき仕事についてこうあるべきという「判断基準」をもって行動しているかと思います。 日々の業務の中の簡単なタスクから大きなPJまで1日の多くの意思決定を行っているかと思います。 それはメモを取る、取らないのような些末なことからこのPJにこの人をアサインするまで多種多様にです。

その「判断基準」は個々人のこれまでの経験や思想に依存していますが、それが個々人でズレているとどうなるでしょうか。

それは、コミュニケーションロスであったり、PJの失敗など結果として「目に見える」形で現れてきます。

そのため、カルチャーという全員が同じ方向を向いて仕事を進められるようなものが必要になってきます。

これが、カルチャーが重要たりうる理由の一つではないでしょうか。

そう考えると、本書にも記載されているように、カルチャーフィットの高い人材を採用することが大切とありますが、 それも「判断基準」が同じ方向を向いていない人を採用してしまうと、いずれの人も疲弊してしまう恐れがあるからだと思います。

昨今の転職・就活事情を見てみると、多くの会社がカルチャーフィットを要件に挙げていますよね。

そのため、以下に自社のカルチャーというものが明確化され、個人レベルで落とし込まれているかというのが重要な理由が わかる気がするはずです。

最後に

本書の「終わりに」では、筆者の考えとして、「幸せに働くこと」「楽しく働くこと」が重要とあります。 それは、自分自身も同意する考えです。

なぜかというと、冒頭にも記載したようにコロナ禍を通じて「働く」ことについて考える時間が増えたことがあります。 周りを見てみると忙しさで疲弊している人がいたり、やりたいことができなくなっていたり、精神的にまいっている人がいたりします。

それは、個々人の期待値と組織の期待値が一致していないからというのが一つの原因な気がします。

また、多くの人生時間をささげる中で「楽しくない」ことにそれを捧げる理由がどこにあるのでしょうか。 精神衛生上よろしくないかと思います。

そのため、自分自身にとって「幸せに」「楽しく」働ける環境とは何かということ、すなわち自分自身の「カルチャーモデル」を 考え、それを会社の持つそれと照らし合わせることで自然と求める働き方ができるようになってくるのではないでしょうか。

というわけで企業のカルチャーモデルだけではなく、自分自身の人生の在り方というものにも適用可能な考え方が本書を読み進めることで 得られるのかもしれません。

それでは、また。