「NO RULES」を読んで

今回読んだ本

Netflixの文化について、CEOであるリード・ヘイスティングスとインタビュアーであるエリン・メイヤーにより、 記された本書である。

家族というより、スポーツチームであり、無能であるならば即刻クビになる。
そんなイメージがあるが、確かにそうであり、そうでないのかもしれない。

本書を読んで感じるのは、Netflixというサービスを中心としてその質を向上させる上で何が最適なのかを 経験を通じて作り上げていく様が目に浮かぶということである。

所感

スポーツチームのような組織であるというのが、Netflixのイメージであるが、そこにはどういった背景があり、 そうなっているかというのを見てみると、大きく異なるのは、「フィードバック文化」であるように思える。

率直に思うところがあれば、言いましょうというのはどの企業においても是とされているが、それが適切に (どういった形が「適切」なのかは各組織で異なるが)運用されているのはほとんどないのではないだろうか。

フィードバック=人格攻撃のように受け止められる節があり、またフィードバックを受け止める訓練をしてきていないので 致し方ないところもあるだろう。その上で、Netflixではストレートに指摘しているかというとそうでもないようである。

「相手に面と向かって言えることしか口にしない」という標語だ。 ネットフリックスでは、誰かに役立ちそうなフィードバックがあるときに口にしないことは、会社への背信行為とみなされる。

このような一説がある。
きついなと感じるかもしれないが、このくらいコンテキストを揃えてあげないと文化として成り立たないのであろう。

個人的観測範囲内だが、改善ポイントがあってもその場でフィードバックせず、後になっても心の中にとどめておくことが 自他ともに多いように見受けられる。
それで改善される機会が少ないのであれば、個人としてチームとして企業として良くなる方へ進みづらいのが事実であろう。

そのため、Netflixでは、このようにフィードバックを文化として昇華させているのであろう。
本書を読む中でNetflixに転職してきて初日からフィードバックを数多く受け面食らうというようなエピソードも随所にあるので 我々日本人が、というわけではなく向こうの彼らとて驚くほど初めは異質なものなのかもしれない。

では、文化として昇華させる上で、リード自身がそうしてくれとコンテキストを埋め込むだけではすんなりいくわけではなく、 フィードバックの正しいやり方や間違ったやり方など、フィードバックを正しく行えるようにドキュメントや研修プログラムを用意しているみたいである。

終わりに

本書では、さまざまなエピソードを通じてNetflixがどういった文化を持っている企業であるかを読み手にイメージさせてくれるものである。 では、読んだ後に所属している企業に即座に還元できるかというとそう多くはないと感じる。

ただ、フィードバックを適切に行っていくということ、プロスポーツチームのように行動することは少しずつ取り入れられるかもしれない。 自由や自律、責任と権限など色々なところで働く上でのキーワードとして記事などで見かけることがよくある。 それを掲げることと体現することは天と地の差があるが、どう具体的に進めていくかの一つの参考例として本書を読み進めていくと 良いのかもしれない。

とりあえず個人的には、フィードバックに関しては、他の書籍も読んで改善を進められるような動きをしていきたいなと感じさせてくれた 一冊だったと感じている。