「ユニコーン企業のひみつ」を読んでみて

今回読んだ本

巷で話題の本を買ってみました。
自分は、エンタープライズでもなければ、スタートアップでもなんでもない企業に属していますが、 自身の手の届く範囲でもまず良くなればと思い、手に取りました。

結論として、半年とか1年とかそういった周期でざっと目を通すような本になるのかなと思いました。 自分はメンバーレベルの立場ですが、マネージャーなど部下を持つような役職の立場にいる人に特に 読んでほしい一冊ですね。

スクワッドとは何か

スクワッドとは、本書曰く、職能横断型の自己組織化されたチームとのこと。(大抵8名以下で構成されるらしい)
自己組織化されたとは、何を指すかを読み進めると、「自律」「権限」というキーワードが浮かび上がってくる。
到達すべき設定されたミッションがあり、それに対して自分たちで道筋を作り、そしてそれを前に進めていくための意思決定権限が あるということが、「自己組織化された」という意味と理解できる。

すなわち、スクワッド自体が長期的な視点を持ち、開発プロセス(≒デリバリなど)における無数のトレードオフに対してバランスを 取れる権限を持っていることを指す。

単にアジャイルスクラムを適用し、プロダクトオーナーが作成したバックログを淡々とこなすことでスクワッドになるかというと そうではないのかもしれない。
プロダクトを中心とし、ミッションに基づいてプロダクトを前に進めるためにあらゆることを自分事化して、「自律」的に動ける 人々がチームとして構成されているのが、スクワッドの必要条件に感じる。

また、スクワッド自体が自律的に動けることは、各人がより仕事を自分事化し、楽しく生産性高くなるかもしれない。
これは、個人的意見だが、階層が上の人がよく部下たちに対し、自律をもって自分事化してほしいと言うケースが多々あるが、 それを可能とする権限付与や環境設定(≒ミッションやバリューなど)が足りていないのではないかと感じる。 更に言うと、自分たちが自律的に動ける環境や権限がどの程度あればその状態を達成しうるかを検討する余白がないのが一番の 問題なのかもしれない。

さらに進んで

独特な言い回しだが、「トライブ」「チャプター」「ギルド」というものが存在する。

トライブとは、スクワッドの集合体のようなものである。関連した機能・サービスに応じてスクワッドをまとめ上げたものと いう認識で間違いはないはずである。

チャプターとは、同じ専門性によってグルーピングされたものである。例えば、フロントエンドエンジニアやQAエンジニアのように 簡単に言うと職種などでまとめ上げられたものになる。

ギルドとは、同じ専門分野に応じてグルーピングされたものである。例えば、iOSPythonのように職種如何によらず特定分野に興味関心が ある人たちをまとめ上げるのに使用する。

この説明を読んでいると、マトリクス組織のように感じますよね。その上で本書の中でもこれはマトリクス組織ではないかという問いに対して 「そうでもあるし、そうでもないといえる」と回答している。(どっちなんだい)

デリバリーにフォーカスしているのが、その差異だと記載されているが、あまり理解できない。
縦方向=スクワッド≒チームに属して何を開発していくか、進めていくかを理解した上で横報告=チャプター≒同職種の集まりの中で どうやって≒専門性を共有知化したり、練度を高めていくのが、差異なのかもしれない。

結果、読んでみて

面白い。それゆえにどう実践に落とし込んでいくかは、ぶっちゃけ1メンバーレベルでは難しく感じる。 これは、企業の文化であり、どこを重要視しているかという「観点」のお話のように感じる。

となると、すべての企業がこれを受け入れてそのように適用できるとは、思わないし、自分たちが重要視していることが まず何なのかを明確化した上で、浸透させていくことが一番重要に思える。

本書では、自律、権限、カンパニーベットなどスタートアップらしいキーワードが出てきている。 文化を変えることはとても難しい。とはいえ、個人として大事にしている信念なりを実地に落とし込んでふるまっていくことで 少なからずチームレベルでは伝播させることはできるかもしれない。

ネガティブな側面ばかり見ずにどうありたいかを想像し、逆算的に行動していくことが、第一歩かもしれない。 その上でボトムからトップまで「ふるまい」を「文化」として昇華していくことが変化の第一条件に感じました。