チームで働くということ「THE TEAM 5つの法則」
今回読んだ本
チームで働くということは、普段から行っていることであり、なんとなくの習慣めいたものや 行っていることは自分自身の経験の中にたくさんあることでしょう。ただ、それをより効率的にするために、あるいはどうすれば「良い」チームになるのか といったことを考える際には、ある種の「体系的な」法則や技術といったものが必要になるかと 考えています。*1
チームで働くということ
企業に所属しているとほとんどのケースで何らかのチームに所属することになります。
チームで働くということの目的は、「個人の能力×個人の能力×・・・」にすることだと思います。
単に「個人の能力+個人の能力+・・・」では、ただの集団であり、チームではないかと考えます。
では、チームで働く=個々人の能力の掛け合わせの状態に落とし込む上では何が必要かと言うと以下の 要素が必要になってきます。
- 意義目標
- 成果目標
- 行動目標
昨今様々な企業でも使用されている目標管理の指標として「OKR」というものがありますが、 それと照らし合わせると、意義目標がO(Objectives(実現すべき目的))であり、成果目標がKR(KeyResults(創出すべき成果))です。
それらの中で、個人的にも意義目標が重要だと考えています。
理由としては、それがないと「つまらない」からです。
つまらないことというのは、モチベーションを下げます。毎日釘を10本板に打ち込むという仕事を毎日楽しくできるでしょうか。
「なぜそれをするのか」「なぜわれわれがやるのか」などのWHYから考えて抽象化された目標があることで、
自分自身の行動や成果が、その意義に対してどれだけの寄与度があるものなのかを考えて動くことができるようになるかと思います。
企業で働く上で必ず定期的な目標が与えられ、それに対して日々仕事をしていくわけですが、その目標自体も「正しい」ものなのかどうかを 考えながら仕事をしていく方が楽しいですよね。 *2
また本書では、エンゲージメントという言葉が出てきます。
エンゲージメント = 報酬・目標の魅力(やりたい)×達成可能性(やれる)×危機感(やるべき)
このようにエンゲージメントを定義しており、感情報酬が仕事において、チームで働く上で重要な要素になってきていると書かれています。
確かに、単に給与が良いであったり、ポジションが良い、オフィスが綺麗だけでは仕事を楽しめるかやその企業で働きたいかどうかを 判断することは難しく、また就職・転職活動においてもある単一の基準点だけで選択してしまうことは時に誤りであるケースもあることでしょう。 *3
そして、良く言われることでもあり、それを持つことが難しいものの一つに「当事者意識」があります。 当事者意識とは、いったい何なのでしょうか。
そして当事者意識を持つようにと上の人から言われて意味のないことを言っているものだなと感じることもありますよね。
本書では、そういった発言は無駄と切り捨てたうえで当事者意識を埋め込むためのポイントとして3つ挙げています。
- 人数
- 責任
- 参画感
チームの人数が膨れ上がることで起こることの一つとして「誰かがやってくれるだろう」というものがあります。
自分がやらなくてもある問題が解決されるのであるような状態になっているとまあ誰かがやってくれるので手を抜こうという気持ち
にもなりますし、効率的にしようとか改善策を考える余地もなくなってくるでしょう。
従って、一定以上の人数以上になるとチームを分化させていくことが重要だと説いています。*4
そして責任ですが、責任の範囲や所在、評価対象を明確化しておくことが重要だと説いています。
確かに、「責任感」というのは、個々人で異なることです。
積極的にサービスが良くなることを提案したり、色々な仕事を巻き取って進めたりする人がいますが、 それはあくまでその人個人の「責任感」からくる行為です。
そのため、チームにおいて推奨される行動やここまでは独断で行動してよいなど責任の所在をはっきりさせておかないと不要不急の軋轢を生むことになります。
上司やリーダーの立場から見ても「責任」を定義して共有認識にしないままマネジメントを行い、部下の評価を下げるといった誰も得しないことが起きる可能性もありますよね。
最後に、参画感です。
様々な意思決定が自分の観測範囲外で行われ、ただただ共有されるだけになるとどう感じるでしょうか。
ものすごく「他人事」になるかと思います。
この3つの中では、個人的には参画感が最も重要な要素だと感じています。
この参画感が低いと、冒頭に書いたような「足し合わせ」になってしまいます。
開発組織などで、すべて決まった仕様を実装することやすべての実装完了後にテストを行うなどになると
連携価値が落ちて品質の低いものが出来上がったりすることがあります。
そのため、必ずしもすべての意思決定において合議制を取るというのが参画感を高める行為ではありませんが、
チーム内の個々人が参画感が低いと感じているようになると危険ではないかと考えています。
最後に
「組織を変えるのは誰なのか?」という問いについて考えたことはありますでしょうか?
これが悪い、こうしたら良くなる、これをしたらもっと働きやすくなるという「アイデア」は日々出てくるかと思います。*5
それを実現するのは誰でもないあなたであるというのが、本書の伝えたいことの一つなのではないでしょうか。
もちろん何かを変えることは、大変なことであり、色々な人を巻き込むことではあります。
そして独りよがりな意見が、害悪になるケースがあります。
とはいえ、何かを変えたい・良くしたいと感じている人はたくさんいるかと思います。
そんな時にそれらを代弁して提案したり、改善されるような仕組みづくりをしていったりとできることからコツコツとやっていくことが
個人の姿勢としてあるべき姿の一つなのではないでしょうか。
という提言と共に自分自身も実践し続けなければならいという自戒ですね。
参考図書
- 作者:リチャード・シェリダン
- 発売日: 2016/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード (ハヤカワ文庫NF)
- 作者:ジェイソン フリード,デイヴィッド ハイネマイヤー ハンソン
- 発売日: 2016/12/15
- メディア: Kindle版